明治7年(1874)に、行われた明治新政府最初の海外派兵を扱う。台湾南部域に出没する海賊を掃討するのを名目として行われた事件(征台の役・台湾出兵とも)をアメリカの若き新聞記者E.H.House
(ハウス)が従軍し記録し、刊行した書物を翻訳したものです。
この事件には東京日々新聞の記者・岸田吟香(画家岸田劉生の父)も従軍し、従軍記を東京日々新聞に連載し、人気を博しますが、ハウスの記録は冷静沈着に事態を記録しており、記録性が高いものです。この事件で調達された武器などが、やがて西南戦争の時に発揮され、明治日本軍の確立に貢献してゆきます。また同時に台湾をめぐって、清朝との意見衝突などが生じ、日清戦争の遠因の一つにもなっていきます。
序文
第一章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 二九
事件の発端、日本の属地住民への虐殺事件、台湾の現地民、航海
者への虐行為、アメリカ船ローバー号事件、中国政府の台湾現地民への統治能力の欠如と責任の放棄、リゼンドル氏の台湾訪問と友好同意書の締結、蛮行の再発、中国政府の無関心。
第二章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 三九
琉球の民への虐殺、日本と琉球との関係、琉球の日本への併合、速やかな救済行動、中国に対する要求、副島外務卿の政策、古代日本の台湾支配、北京における副島、有効だがあいまいな外交、岩倉右大臣の反対、明らかに放棄された計画。
第三章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 五三
秘かに進められていた準備、隠蔽の必要、アメリカ国務長官の初めの発言、組織された遠征、アメリカ側の協力、東京を出発する、ビンガム氏の思いがけない抗議、計画の混乱、日本側官僚の断固とした態度、第一陣の長崎出港、航海上の様々な危険、外国外交官の反対。
第四章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 七一
厦門到着と新たな障害、英国人代理人の離脱、イギリス領事の独裁、アメリカ高官の意見、台湾海峡の航海、ロンキョウ湾に停泊した有功丸。
第五章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 七九
台湾への上陸、通訳官ジョンソンのこと、ロンキョウ湾の概況、島人との初めての会見、島人、ビンロウの種子を噛む、日本兵の状況。
第六章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 八七
視察団、シャリョウ村と住民、周辺地の探索、周辺地の一般的状況、結婚式の意外さ。
第七章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 九五
ロンキョウの人々の手厚いもてなし、料理された豚、繊細な現地民への驚き、シャリョウ村での昼食会、第二次調査、詮索好きな女性達の集まり、活発だが成果のない会談。
第八章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一〇五
軍隊上陸と物資の陸揚げ、軍制度の欠陥、上陸時に起こった事、住民の性格、野営地の当初計画、雇われた現地労働者。
第九章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一一五
現地住民の行動、抑えきれない好奇心、くじかれた不安の純真さ、暑さによる不快感、解明。
第十章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一二三
雇われた現地労働者、手に負えないこと、英国砲艦来る、進取の気性に富む領事、村民の飽くことを知らぬ貪欲さ、武器要求の脅し、陸海軍将校の到着、台湾に日本家屋の建築。
第十一章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一三三
新たに選定された野営地、現地民との新たな摩擦、一部軍人の勝手な探索、未開部族族長との会見、台湾南部部族の指導者、確立された友好関係、李仙得将軍の自信、もう一つの宴会。
第十二章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一四五
性急すぎた前進とその結果、落伍者に対する処罰、薩摩徴集兵の追放、日本軍のフリゲート艦の乗組員に対する襲撃、激しい嵐とそれによる遅れ。
第十三章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一五一
偵察隊への襲撃、再び禁を犯した遠出、日本軍による武力攻撃、現地民の無駄な追撃、不審を抱かれた村、前哨地の設置、最初の戦闘、六名の日本人と十六名の山岳民の死亡。
第十四章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一五九
西郷将軍の到着、新たな物資と増援部隊、思いがけない中国軍艦の到来、友好的な使命、礼節をわきまえた会談、福建総督からの書簡、中国側による最初の主権主張、先へ伸ばされた将来の台湾支配権問題、国民的儀礼、重火器管理に関する中国側のぎこちなさ、初めての外国介入が無駄に終わったこと、その後の成功、日本側の活発さに反し非活発な中国側の動き。
第十五章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一七一
日本からの新情報、公平を欠く中傷、ビンガム氏の抗議、ビンガム氏の考えそうなこと、詳細な回顧、外交団の動きがもたらす重大結果、大隈の責任、大隈の結論、ある調査結果、大久保利通、無意味な外交上の反対。
第十六章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一八七
最近の遭遇事件、未開部族長の死、族長の死にともなう策、独立した志願兵、疑問を残した訓練、沿岸部に住む島民の気質、ボタン族敗北の影響、戦い好きな通訳官、暑さの襲来、兵士の気晴らし。
第十七章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二〇一
イサら族長との二回目の会見、未開部族指導者の特長、過大に評価されすぎていた南部諸部族の力、友好交流の諸条件、公平な協定、贈り物交換。
第十八章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二一五